とろろ、オクラ、昆布”ネバネバ”成分の驚きパワーを徹底解明SP!林修の今でしょ!講座(2018年7月17日放送)とろろ編
7/17(火)放送の林修の今でしょ!講座では、とろろ、オクラ、昆布”ネバネバ”成分の驚きパワーを徹底解明! 健康長寿1000人に大調査!夏によく食べている「ネバネバ食材BEST3」とろろ、オクラ、昆布のスゴいパワーについて紹介されました。
とろろ&オクラ&昆布 体を老けさせないスゴい栄養素とは!?
まずは山のネバネバ食材とろろを紹介します。
今回の講座の担当は、薬学博士で現在はタムラ薬局代表薬剤師 田村哲彦先生
田村先生は、現代医学と漢方の両面から食べ物の研究を続け、とろろの栄養成分も研究されているスペシャリスト。
とろろと言うと、いろんな食べ方がありますがどうやって食べてますか?とろろと言えばおそばやご飯にかけて食べるいわば脇役のようなイメージがありますよね。ところが、とろろに含まれている栄養素は夏場に弱りやすい胃を守り、消化不良や胃潰瘍など、様々なトラブルから胃を守ってくれるすごいパワーを持っているんです。
健康長寿が夏によく食べるとろろ
そもそも「とろろ」とは?
とろろに使われる芋の種類を皆さんは分かりますか?
長芋、大和芋、つくね芋(関西地方でよく使われる山芋)、自然薯(希少価値が高い日本原産の山芋)を総称して山芋。山芋というものがある訳ではない。
農業が入ってくる弥生時代に、里芋というのが平地で栽培されるようになった。その前、縄文時代から山でとれる山芋というのがあったという風に言われている。
山芋は古くから山のウナギと言われるほど、豊富な栄養素を持っている事が知られていました。実は、歴史上の有名人も山芋を愛用していたのです。
田村先生によると・・・徳川家康は「とろろ飯」を毎日のように食べていた。西郷隆盛はとろろではなくて、かるかん(つくね芋を原料とする鹿児島の銘菓)などお菓子で食べていた。
とろろの料理は胃を老けさせない!
「とろろそば」
そばやうどんなど麺でできたものは、吸収率が高く血糖値を急激に上げる。とろろによってうまくそれを遅らせる。そば自体は胃をちょっと冷やすが、とろろは胃を温める。夏場は冷たいものを食べたりで胃が冷やされ弱ってしまったり、ダメになってしまう。それを予防してくれる。
「牛タン定食」
牛タンはちょっと油っぽいがとろろの粘り気がコーティングしてくれる。牛タン定食と言ったら麦飯。食物繊維の多い麦飯、消化しづらい食べ物なのですが、水分の多いとろろと一緒に食べると消化を助けてくれる効果が期待できるんです。
とろろのパワー
- 血糖値の急激な上昇を抑える
- 胃が冷やされるのを予防する
- 牛タンの油分をコーティングしてくれる
- 麦飯の消化を助けてくれる
長芋をするとき手がかゆくならない方法は?
皆さんかぶれると思っているが、中に入っているシュウ酸カルシウムという結晶が刺さるんです。それによってかゆくなる。シュウ酸カルシウムを溶かすには、お酢を使うといいんです。
方法1:水1ℓに小さじ1杯のお酢を入れ長芋をつける。持つところは絶対に皮をむかない。
方法2:小さじ1杯のお酢を入れた水で手をぬらす。それからすり始める。
お酢をつけても味は変わりません。
とろろのスゴいパワー
- 血糖値の上昇を抑え消化を助けてくれる
- お酢を使うことでかゆみを抑えられる!
胃と足腰を老けさせない栄養素
とろろのジアスターゼが胃潰瘍や消化不良を予防し胃を老けさせない!
ジャガイモ、さつまいも、里芋は生で食べることはできません。食べると消化できないので下痢をしてしまう。山芋だけは芋の中で生で食べることができる。他の芋にはないジアスターゼがでんぷんを消化するため長芋は生で食べられる。
夏場は胃が最も弱りやすい時期。冷たい飲み物をついつい飲みすぎたり、エアコンのきいた部屋で長時間いる事で、胃が冷やされてしまい胃液の分泌が正常に行われなくなる。さらに老化により胃が老ける事が、様々な胃のトラブルの要因となる。
胃が老けるとは
- 動きが鈍くなる
- 消化が悪くなる
- ピロリ菌がいる場合は胃が荒らされる
自覚症状として胃がもたれたり、食欲がなくなったり、胃もたれ、痛み、下痢の症状が出たりする。
胃の状態を正常に戻すように働くジアスターゼ
ジアスターゼはカブ、大根、キャベツなどの野菜に多く含まれているが、中でも長芋はトップクラス。大根のおよそ2倍も含まれているんです。ジアスターゼの働きは、食べ物のでんぷんや糖分を消化しやすくする。さらにそのパワーが胃を守ってくれる。
ジアスターゼにはどういう作用がある?
芋だけでなく食べ物には、でんぷんがたくさん含まれている。このでんぷんが胃の中に残ると、胃もたれや胃痛の要因となってしまう。ジアスターゼが食べ物を細かく分解してくれる事で、消化吸収しやすいようにしてくれる働きがある。さらに胃の中に余分な食べ物を残さない事で、胃の働きが活性化される。夏場に胃を弱らせてしまった場合でも、胃を正常に戻してくれる効果が期待できる。
夏に「とろろ」と一緒に食べることで消化の働きを高める食材は?
梅干し。夏は体が消耗する。体が消耗すると、酸っぱさと甘みが欲しくなる。梅干し×とろろは大切な組み合わせ。梅干しは足りない体液を増やしてくれるので、とろろの消化を助ける作用と補い合う。さらに、梅干しが持つクエン酸が胃を殺菌し働きを活性化。
先生イチオシ とろろ+梅干しの冷やし茶漬け
作り方
- ご飯の上にとろろと梅干しをのせる
- 冷たいだし汁をかける
まぐろやまかけ丼などの、とろろたっぷりの料理は、胃を守りながら栄養がとれる理にかなったもの。皆さんもぜひこの夏を乗り切るために食べておきましょう♪
とろろを食べ過ぎて太らない?
主な芋のカロリー※可食部100gあたり
長芋:65
サツマイモ:132
ジャガイモ:76
実はとろろというのは、カロリーがすごく少ない。とろろに使われる長芋は、約80%が水分でできています。他の芋に比べてもカロリーは意外と低めなので、健康に気を使うにはもってこいの食材なんです。
ジスタアーゼをとる時の注意点
ジスタアーゼを摂取するには、長芋を生で食べた方がいい!
基本的に酵素はたんぱく質で、私たちの体に入って初めてちゃんと働くようになる。ジアスターゼは至適温度の約40℃で最も働く。ところが60~70℃になると、失活といって酵素は壊れる。ジアスターゼを効率よく吸収するには冷たい料理に使うこと。
60℃以上でジアスターゼの効果はほぼ無くなるので、とろろのお好み焼きが大好きな人はがっかりしたかもしれません。実は、とろろはとりたい栄養素によって食べ方を変えることができるんです。とろろの成分には熱に強い栄養素もある!
とろろに含まれるグリカンが足腰を老けさせない!?
健康長寿の大敵は、足腰が老ける事で起きるつまづき。骨折や打ち身など深刻な事態を招きかねない危険が。しかし長芋の収穫量日本一を誇る青森県の健康長寿を訪ねてみると、なんと今年93歳になる男性は険しい山道をスイスイ歩く丈夫な足腰の持ち主。毎日元気に山の中で山菜狩りをしているそうです。やはりとろろを食べていることが健康の秘訣だと言います。
とろろの成分グリカンの働きとは!?
- 腱を強くしてくれる
- 軟骨を強くしてくれる
グリカンは基本的には動物に入っている場合が多く、植物に入っているのは珍しい。手羽先や軟骨など動物性の食材に含まれている。グリカンは熱にとても強いだけではなく、とろろに熱を加えることで水分が飛んで栄養素が凝縮するため、より効率良くとることができる。
なぜグリカンは足腰を老けさせないのか?
実はその仕組みに興味深い働きがあるんです。原料をとったからといって消化吸収されたら、原料をつくる方に回るのかは分からない。たんぱく質をとっても、たんぱく質ができるとは限らない。グリカンの場合は、ポンっと食べたら腱をつくるスイッチが入る。足りない部分をつくってくれる働きが見つかってきている。なので、加熱してジアスターゼが失われても、足腰を鍛える上でグリカンは期待できる。
長芋だけでなく、天然物には色々な成分が入っている。その中で必要な栄養分をとるために、調理法を変えるのも良い。調理法が1つだと絶対に飽きちゃいますよね。
とろろのスゴいパワー
- 胃を守るジアスターゼは加熱すると効果を失う
- 足腰を老けさせないグリカンは熱を加えても大丈夫
- 毎日の食生活の中で欲しい栄養素を効率よくとることが大事!
自然薯がスゴい!最新研究で分かった栄養パワーとは!?
山芋の中でも特に希少価値の高い自然薯。昔は自然に生えているもののみでしたが、近年栽培されるようになり身近な存在に。長芋よりもさらに強いネバネバ感が特徴ですが、強力なネバネバに隠れたパワーが!
自然薯に入っている栄養パワーがジオスゲニン
他の山芋にも含まれているが、自然薯に一番多く含まれている。近年自然薯に含まれるジオスゲニンの研究が進められている。そしてまだマウス段階ですが、2011年に発表された研究結果が注目されているんです。
ジオスゲニンががんの予防に対して効果がある!?というようなことが静岡県立大学のグループが発見した。この実験は発がん物質を投与したマウスの、がん腫瘍がどれだけ増えるか計測するというもの。一方にはエサと一緒にジオスゲニンを17週間与え計測したところ、ジオスゲニンががん腫瘍の発生を抑えた!?という結果がでたんです。
2012年富山大学和漢医薬学総合研究所がアルツハイマー型認知症に効果がある!?と発表された。この実験では、アルツハイマー型認知症のマウスにジオスゲニンを投与。ジオスゲニンを投与すると、アルツハイマーの原因の1つアミロイドβが減少。
とろろのスゴいパワー
- 自然薯のジオスゲニンは現在研究段階。今後に注目!
健康長寿の満腹レシピ
とろろを調理に使うことで栄養素の吸収はもちろん、カロリーを抑え健康的な食事に!
健康長寿が食べているとろろレシピ
- キュウリ+醤油+とろろ
- マグロの刺身+とろろ
- 納豆+卵+とろろ
- お餅の代わりにとろろを使った「とろろいちご大福」
- 小麦粉の代わりにとろろを使った「とろろ100%のお好み焼き」
- パン生地の代わりにとろろを使った「とろろピザ」
- ジャガイモの代わりにとろろを使った「長芋のポテトサラダ風」
- とろろを海苔で巻き揚げる「磯辺揚げ」
どれも美味しそうでとろろづくしが食べたくなっちゃいました。
赤坂ファミリークリニック院長 東京大学医学部付属病院小児科医の伊藤明子先生が健康長寿が食べていた、カロリー控えめとろろの満腹レシピについて解説してくださいました。
「とろろ100%のお好み焼き」マヨネーズや豚肉を使い、カロリーが高いイメージもあるお好み焼き。お好み焼きは色んな材料を使っているけど、材料全体でカロリーが一番高いのが小麦粉。小麦粉をとろろに代えると、全体で3割くらいカロリーカット。
「とろろピザ」ピザ生地をとろろに代えると、ピザ606kcal⇒とろろピザ403kcal
「とろろいちご大福」いちご大福148kcal⇒87kcal
夏バテ防止に最適!伊藤先生のオススメとろろレシピ「とろろとしめじのだし巻玉子」
作り方
- ボウルに卵としめじととろろを入れて混ぜる
- 普通の卵焼きと同じようにフライパンなどで焼けば完成
とろろを混ぜることで、カロリーを抑えながらボリューム満点。卵のたんぱく質とビタミン豊富なしめじは、夏バテ防止に最適。
とろろのスゴいパワー
- とろろを使えばカロリーダウン
とろろのすり方検定
皆さんはとろろをする時はどうやってすりますか?実はすり方により、せっかくの栄養素が無駄になってしまうこともあるんです。皆さんのすり方間違っていませんか?
ポイントは目の細かさとスピード
栄養素を無駄にしないすり方は、目の細かいおろし金でスピードは速く。目が細かければ細かいほど、中の酵素が出やすくなる。するスピードが遅いと、空気にたくさん触れ酸化しやすくなる。細かい目でする方が長芋の細胞が壊れて、芋の成分ジアスターゼ、グリカンが出やすい。しかし、すり始めると空気に触れ酸化が進みます。酸化すると栄養素を失ってしまうため、より速くすり、時間をおかないことが大切なんです。食べる直前にするのが◎
とろろのスゴいパワー
- とろろをする時は目の細かいおろし金
- するスピードは速く
栄養素を失わない保存方法
とろろは時間が経つと、酸化が進みせっかくの栄養素を失ってしまいます。余ったとろろを保存したい時は、ラップで包み冷凍保存。する前の場合は、新聞紙を巻いて冷蔵庫に入れる。長芋は非常に保存がきく。今年1月にとった長芋が夏に食べられたりする。少し温度が低い所で、新聞紙を巻いて保存するのがいい。直接冷蔵庫に入れるのは乾燥するので×
良い長芋の選び方
- 基本的には張りがある
- 皮が薄い
- 硬い
- 重い
柔らかい長芋をすってもダメ。硬い長芋をするのが必要。同じくらいの大きさだったら重い方が良い。基本的には酸素に触れても大丈夫なように、皮でコーティングしているが、真空パックのものだとより効果がある。切り口は必ずラップで密封してください。
とろろのスゴいパワー
- 保存する時は酸素に触れないようにして冷凍庫へ!